自分の公演の記録映像を見返すことが、基本的に苦手だ。下手に時間が経ってしまうと、見なければという義務感ばかりが大きくなり、ただワンクリックして再生するということがますます大ごとになってしまう。大体いつもはタイムリミットを設けて、見ざるを得なくするのだが、なぜこんなに些細なことを苦痛だと感じ続けなければいけないのか、理不尽に思い始めた。
ちょっとした水たまりは、少し歩幅を広げて踏み越えればいいだけで、覚悟を決めて目をつぶってジャンプする必要はない。
そこで、ポジティブな気持ちで見られるようにするための、自分に対するインストラクションをいくつか考えてみた。すると不思議なことに、インストラクションを考えているだけで、まるで記録映像を見ることが楽しいイベントであるかのような錯覚が生じてきた。そして、考えた内の一つを採用し、昨年の公演の映像を平静な気持ちで見た。
こんなに簡単にものの感じ方が変わっていいのだろうか。「苦手」と思っていたことの内実は何だったのか。でもどうせだったら、他のこと(苦手な食べ物など)にも応用して試してみるべきか。
考えたインストラクションの一部はこちらです。
・おしゃれして見る
・自分に対して見るようにお願いする台詞を録音し、それを聞く
・公園にPCを持って行って見る
・とても遠くから見る(徐々に距離を詰める)
・ホーメイの練習をしながら見る
・毛布で自分とPCを覆い、こっそり見る
・超スローモーションで、見るためのセッティングをする(掃除、飲物の準備、PC操作など)
・爆音で見る
・自分の両隣りに小物や置物などを置き、それらを仲間の観客とみなして一緒に見る
・四股を踏みながら見る
・お茶をたてながら見る
・インストラクションの続きを考えながら見る