「無駄な時間の記録 #3」推薦コメント|”The Record of Useless Time #3″ Recommendation comments

4人のスコア作者からの、「無駄な時間の記録 #3」にて振付・出演するアーティストへの推薦コメントです。ぜひご一読ください!

公演詳細 http://kamimuramegumi.info/record-of-useless-time-3/


のばなしコンさんについて

コンちゃんと初めて会ったのは、いつどこだったのかどうしても思い出せない。
いつ見かけても凛と澄んだ空気を纏っていた。
四つ足で駆けまわったり、関節や四肢の動きが特徴的でアニマルコンちゃんのネーミングがピタリとハマる。
暫くして和歌山の那智に移住したと聞いたときは合点がいった。
海と山を巡り、貝や罠猟で捕らえた鹿を捌いて頂き物として食す。
梅干しもいただきました、ありがとう。
そんな有り余る世界で私には絶対にできない生活をしている(簡単ではないと思う)コンちゃんの身体で、私のスコアを踊ってもらいたい。
予想がつかない心身の拡がり。
壁をよじ登っちゃうかもね。

岡田智代


坂本恭隆さんについて

私が2年前に上演したソロは、自分の日常の中で何をしているでもない時間、いわばゴミのような時間から、意味のある何かが取り出せないかという試みとして作りました。
今回出演を依頼した坂本恭隆さんのパフォーマンスを、「親知らズ」というユニットの舞台で一度見たことがあります。ウィリアム・フォーサイスの振付を踊るシルヴィ・ギエムの映像を見て、その動きをコピーするということを行っていました。動きの重要な要素と思われる、ぎりぎりのオフバランスや、シャープさの中にある柔らかさや、音楽との同期やズレなどは全て捨てられて、「中心軸をまっすぐ保ち、四肢を開閉しながら空間を飛び回る」というシンプルな動きに置き換えられていました。動きの最小限のルールをうまく抽出しているように思えると同時に、食い尽くされた後のリンゴの芯がひょうひょうと舞っているようにも見えたのでした。
スコアには、書かれていることと、(汲み取られると当然のように期待され)書かかれずにいることがあるでしょう。スコアに書かれずに捨てられたことも、拾いあげられるような作品になるのではと期待しています。

神村恵


辻本佳さんについて

辻本佳さんは京都で長く活動されているし、名前の佳が同じだし、いろんな作品に出演されているのでもちろん知ってたけれど、現場でご一緒したことはありませんでした。
2年前に演出・美術・音響・出演を辻本さんが手がける「渠」というソロ作品を拝見し、すべての要素をその場で発生させながら空間を引っ張っていくダイナミックで繊細な体に魅せられました。
実は辻本さんとはまだ現場でご一緒していないばかりか、あんまり話したこともありません。
同じ京都でダンスをしていても、関わっている人や場所が違うとなかなか会わない場合があります。ゆえに私とは全然違う切り口でこのスコアを踊ってくださるのではないかと期待しています。
今回お渡ししたスコア「あたたかな顔」は俳句でできています。辻本さんによって踊られる「あたたかな顔」がどんなものになっているのか、創作過程のコミュニケーションは一切取らないままで進めていただいています。なので私も観客の皆さんと一緒に作品を目撃することになります。
そして踊ってもらったあとようやく私は辻本佳さんに出会うのだと思います。

増田美佳


阿目虎南さんについて

阿目さんの踊りは、重力と共にあることをベースとしながらも、身体を上向きに引きあげていくベクトルがあるなあと観ていました。ぐっ、ぐっ、と筋肉を使うその動きは、シャープでありながらも僕には粘土を連想させるもので、今回のスコアとの相性を見てみたかった理由の一つです。また、僕のスコアはスプレッドシート(web上で公開されています)ですが、この、前後関係(因果関係)は厳密に決まっていながらも拍/尺は曖昧な形式が、阿目さんの時間感覚とぶつかったときにどうなるかを楽しみにしています。

たくみちゃん

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