ユングラ稽古会シリーズ 2023年9月-10月|YUNGURA Practice Series September-October 2023

ユングラ稽古会シリーズを引き続きおこないます。
それぞれ独自の関心を掘り下げているアーティストを招き、その人が現在関心を持って取り組んでいることを、一緒に稽古する会です。教わるというより、一緒に稽古しにお越しください。
情報は今後追加・変更の可能性があります。

スケジュール

2023年

9月15日(金) 14時~16時 高嶋晋一「探究会:あるをする」⑤「面」の経験とはどのようなものか?

9月16日(土) 14時〜15時半 神村恵「ストレッチ、その他」

9月26日(火) 19時〜21時 土屋光「音を聴く(音が聴こえる)時の感覚の違いについて考える」①

9月28日(木) 14時〜15時半 神村恵「ストレッチ、その他」

9月30日(土) 14時~16時 木村玲奈「手仕事から身体を感じてみる -集中と分散- 2」

10月20日(金) 14時〜15時半 神村恵「ストレッチ、その他」

10月23日(月) 14時~16時 安藤朋子「スローボディーを愉しむ」

10月26日(木) 14時~16時 安藤朋子「スローボディーを愉しむ」

10月27日(金) 14時~16時 高嶋晋一「探究会:あるをする」⑥「面」の厚みを経験し言葉にする

10月31日(火) 14時~16時 安藤朋子「スローボディーを愉しむ」

 

会場:ユングラ(西国分寺駅より徒歩7分)

参加費:500円+ドネーション

予約不要。直接会場にお越しください。開始20分前よりお入りいただけます。
各回の稽古時間は、少し伸縮する可能性があります。

お問合せ:studio.yungura@gmail.com

主催:プロジェクト・ユングラ

稽古内容

高嶋晋一「探究会:あるをする」
9.15(金) ⑤「面」の経験とはどのようなものか?
地面が正面であるような舞台があるとすれば、それはどんな舞台でしょうか。地面が正面の舞台に立つ演者はどこに位置し、観者はどこにいるのでしょうか。地面が正面になったら、結局もう一つ別に地面が必要になりはしないでしょうか。それとも私がいる面と私に対峙する面とが、(急な坂道のように?)同じ一つの面であることも可能なのでしょうか。最近開催されていた『今日の彫刻 冨井大裕展』の幾つかの作品なども参照して、面(ツラ)のないものと面を合わせる困難も含めた「面」の経験について考えます。

10.27(金) ⑥「面」の厚みを経験し言葉にする
面は面であると言っても、それが触れられるものなら必ず厚みがあります(厚みのない面は純粋視覚もしくは抽象概念です)。至極薄いもの、たとえば身近に生えている木々の葉に、掌で触れてみましょう。小さな葉であれば片手の一本の親指でその裏を、他の四本の指でその表を触ることができます。表と裏の肌理の違いを同時に辿りつつ、葉の柔かさから感じ、その微薄な厚みを推し量ってみると「これは何なのか」と不思議に思えてきます。たとえば私の左掌が私の右掌に触れ、面同士が重なるだけで、その厚みを量ることはできるだろうか。あるいは、葉が葉脈を見せることで、その内なる動きの道筋を明かしてくれるときのように、日差しが葉を照らし、その緑が一層内側から緑に滲み拡がってきて、この極めて薄い面のなかに、奥行きが沈殿し畳み込まれていると感じさせるときのように、顔という面(ツラ)に知覚器官が特化している私が、みずからの身体の厚みを経験するのはいかにしてか。今回はこうした面と厚みの関係に迫ります。

9.16(土)、9.28(木)、10.20(金)
神村恵「ストレッチ、その他」
まずは丁寧にストレッチして、その日の身体と向き合います。流れによって、その他のこともするかもしれません。

9.26(火)
土屋光「音を聴く(音が聴こえる)時の感覚の違いについて考える」①
ある場所で録音した音を、別の場所で聴いてみる。知らない場所で聴こえた音は、その状況を知らない人が聴くとどう感じるのか(何の音に聴こえるのか、どこか音楽的にも聴こえるのか、音楽的に聴こえるとはどういう事なのかなど)。視界に広がる光景と、その光景とは異なる状況の音を聴くとどういう事が感じられるか(光景と音の相性・マリアージュとはどういう事なのか、音の存在感・気配についてなど)。これらの事を集まった人と試して、音を聴く(音が聴こえる)時の、人それぞれの感覚の違いについて、色々な視点で話し合い、その可能性について探っていきたいと考えています。

<参加者にお願いしたい事>
手段や媒体は問わないので、どこかで録音した音源(3分程度まで・複数OK)を持参して頂きたいです。その音源をユングラあるいは屋外で、集まった人と一緒に聴くところから会を始めていきたいと思っております。

9.30(土)
木村玲奈「手仕事から身体を感じてみる -集中と分散-2」
私のふるさと、青森の刺繍である「こぎん刺し」をつくりながら身体を感じてみる稽古会 2回目です。それぞれひとつ、こぎん刺しの作品を完成させ、作品を色々な形で眺めたり、身につけて動いてみたりする予定です。こぎん刺し用の布はこちらで準備しますが、それ以外のご自身の持ち物 (例えばジーパン、帽子、ハンカチ、ワンピース、シャツ、カバンなど / 柔らかすぎる素材は難しい場合があります) にも刺すことができますので、私物に刺繍してみたい方はご持参ください。手芸が好きな方、ユングラに来てみたいなと思っていた方、集中して分散してみたい方、ぜひご参加ください。(材料費+500円かかります。使用する道具、材料はこちらで用意します。)

10.23(月), 10.26(木), 10.31(火)
安藤朋子「スローボディーを愉しむ」
わたしたちが日常生活の中で無意識に動かしている身体。その身体の動く速度を極度に遅くしてみる。そうすることで生まれる虚構の時間の中で、普段気づかない意識の変化や、新たな身体感覚を見つけられたらいいなぁと思っています。

アーティストプロフィール

高嶋晋一(Shinichi Takashima)
1978年東京都生まれ。美術作家。ダンサー・振付家の神村恵とのユニット「前後」でパフォーマンス作品を、写真家・映像作家の中川周とのユニット「高嶋晋一+中川周」でヴィデオ作品を制作/発表している。前後名義での近年の上演に《やってみるとはどういうことか》(「Sound Around 002」、ロームシアター京都、2022)、《眺めるを振り付ける》(「Whenever Wherever Festival 2021 Mapping Aroundness――〈らへん〉の地図」、スパイラルホール、東京、2021)など。高嶋晋一+中川周名義での個展に「αMプロジェクト2022「判断の尺度」vol.5 無視できる」(gallery αM、東京、2023)、「経験不問」(Sprout Curation、東京、2022)など。

神村恵(Megumi Kammimura)
振付家・ダンサー。2004年より自身の作品の振付・上演を開始し、国内外で公演を行う。津田道子とのユニット「乳歯」、高嶋晋一とのユニット「前後」など美術家との共同も多く、ダンスに収まらないパフォーマンス作品も発表している。近年の主な作品に、『彼女は30分前にはここにいた。#2』(2020年、国際芸術センター青森)、『新しい稽古』(2023年、BankART KAIKO)など。2022年、スタジオ「ユングラ」の運営を開始し、同時に複数のアーティストと共に「プロジェクト・ユングラ」を始動。2021年度より、セゾンフェローⅡ。

土屋光(Hikaru Tsuchiya)
三鷹のインディペンデント・スペース「SCOOL」の店長。佐々木敦主宰の音楽レーベル「HEADZ」のスタッフ。イベント・公演の企画・制作・音響や音楽製作などを行う。これまでの創作は、小田尚稔、犬飼勝哉の演劇作品で音楽・音響を担当。音楽/ダンス作品《Living Room / Living Sound》(神村恵、木村玲奈との共作)に演出・出演で参加。最新では、音楽家の池田若菜、浦裕幸、高良真剣と共に、4ヶ所の異なる環境で演奏を行う“4 grounds”というライブシリーズに参加している。

木村玲奈 (Reina Kimura)
振付家・ダンサー。ダンスは誰のために在るのか、ダンスそのもの・ダンス活動・作品・公演の構造を問いながら、創作・作品提示を展開する。また、風土や言葉と身体の関係、人の在り方 / 生き方に興味をもち、国内外様々な土地でリサーチ・創作・上演等を行う。日々の中で、ダンスが生まれる仕組みや構造を探したり、考えることが好き。ユングラの改装をお手伝いしたこともあり、ユングラへの愛はひとしお。主な振付作品に『6steps』『どこかで生まれて、どこかで暮らす。』『接点』がある。’19 – ’20 セゾン・フェローⅠ。’20 – 東京郊外に『糸口』という小さな場・拠点を構え、土地や社会と緩やかに繋がりながら、発表だけにとどまらない実験と交流の場を運営している。 https://reinakimura.com

安藤朋子 (Tomoko Ando)
アクター(Theater Company ARICA)。故太田省吾(劇作家・演出家)と25年間演劇活動を共にする。太田の演劇理念「劇言語と身体への深い洞察と探求」に影響を受ける。2001年に演出家藤田康城、詩人倉石信乃らとTheater Company ARICAを創設。作品ごとにいろんなダンサー(神村恵さんも)、俳優、美術家、音楽家と協働、身体を中心に、言葉、モノ、音、映像との新たな関係を探っている。主な出演作に『水の駅』『↑』(太田省吾作・演出)、『KIOSK』(倉石・テクスト /藤田・演出)、『しあわせな日々』(サミュエル・ベケット作・倉石訳/藤田・演出)。2005年カイロ国際実験演劇祭において、ARICA『Parachute Woman』で最優秀ソロパフォーマンス賞を受賞。